ネットワーク経路上のルータ(ソフトウェアルータ)をはじめとし、ロードバランサやキャッシュサーバ等のミドルウェアは、特に高いパケットレートを処理する必要があります。 これらのシステムは、膨大なパケットを迅速かつ効率的に処理するために、物理および論理の両方で高いパフォーマンスが要求されます。ネットワークトラフィックの処理は、コンピュータシステムにとって非常にリソース集約的な作業であり、高パケットレート環境下では CPU に掛かる負荷が非常に大きくなってきます。 ネットワークミドルウェアでは、多数のクライアントからの要求を捌くために、マシン内の処理に起因する負荷を効率的に分散・軽減させる必要があります。アプリケーションをマルチコア環境でスケールさせる際、CPU 負荷が特定のコアに集中することでシステム全体のパフォーマンスが低下する場合があります。 この問題を解決するため、Linux ネットワークスタックの NAPI や NIC のオフロード機能が、CPU の割り込み処理を効率化し、パフォーマンスを最適化する上で重要な役割を果たします。また、マルチコアスケーリングを効果的に実現するためには、NIC の RSS やカーネルの RPS/RFS といった機構も活用する必要があります。 これらの技術により、パケット処理を複数の CPU コアに分散させ、システム全体のパフォーマンスを最適化することが可能です。今回のブログでは、高パケットレート環境下において膨大なリクエストデータを捌くために Linux カーネルが取った対策について紹介したいと思います。
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